開けてビックリ、玉手箱。

まさかベスト8を待たずに帝塚山大と青学、福岡大が姿を消すとは夢にも思いませんでした。

特に帝塚山大は今年の関西秋季大学リーグで全勝優勝を成し遂げたばかり。大阪国際大は5勝6敗の6位だから、全国区での晴れの舞台でリベンジを果たしたことになります。

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いずれにしても、関西勢同士の潰し合いとなったこのカードにより、大阪国際大が唯一の関西勢となりました。

また、点差こそ拮抗していたとはいえ、東北福祉大恐るべし。青学をストレートで破っています。

結果、以上のベスト8が出揃いました。



東海大学(関東)
vs
大阪国際大学(関西)


順天堂大学(関東)
vs
日本体育大学(関東)


筑波大学(関東)
vs
東北福祉大学(東北)


鹿屋体育大学(九州)
vs
日本女子体育大学(関東)


今回の全日本インカレは出場辞退のチームも多く、関東勢が多いのですが、順天堂大と筑波大、日体大、日女体大、そして東海大と関東ではお馴染みのチームが勝ち残っています。

関西最後の砦となった大阪国際大は東海大、東北の雄・東北福祉大は筑波大、こちらは激戦が予想されます。

そして、鹿屋体育大は日女体大。

いよいよベスト8から4チームに絞られる熾烈な争いが幕を開けます。

楽しみです。


さて、昨日は勝ち星とチーム成績から見る傾向と対策と題して、V-leagueのV-1各チームの1レグ終了時点での成績から傾向を考えてみました。

今日はその続編となりますが、今日はV-1各チームのチーム成績から紐解いてみます。


今回はアタック決定率。

2020 21 V-1 1レグ アタック決定率


東レ、JT、NECと現在の三強全てが上位に名を連ねており、今年は特に攻撃力に特化したチームが軒並み活躍しています。

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今年の特徴はサイドアタッカーの決定率の高さで、石川真佑選手がサイドとしては異例の45.0%、古賀紗理那選手が43.2%、黒後愛選手が41.7%、田中咲希選手が41.6%と高いアベレージを残しています。
 
特にセッターとの高速コンビによりアタッカーの能力が引き上げられており、高い決定率を記録したエース級のアタッカーが活躍することが、今季チーム勝利の条件とされています。

それを裏打ちするかのように、チーム決定率が35%前後からそれ以下のチームの成績が奮わず、今年は特に"点を取れないと勝てない"という傾向を如実に表しています。


そこで今回はアタック決定率がチームトータル35%台のチームを取り上げてみます。


ご存知の通り、攻撃力に特化した東レアローズの決定率が、43.1%と図抜けています。
その中心はクラン、黒後、石川真佑選手の三人のサイドアタッカーの決定力の高さに代表され、レギュラー陣全員が決定率40%超えの破格の決定力を誇ります。

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これに迫るのはJT。
こちらにはアタック決定率ランキング2位・48.6%のアンドレア・ドリューズ選手を筆頭に、37.3%の林琴奈選手、34.5%の田中瑞稀選手がいます。

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サイド陣の打数が多いため、規定打数不足で上がってきていませんが、芥川愛加選手が43.9%と結果を残しており、規定数に達するとランキング8位に相当します。

強いて課題があるとしたら、林、田中選手の決定率を引き上げることとなります。特に対東レを意識した場合、互角に闘うにはこれがマストとなります。 


NECは島村春世選手が開幕時から図抜けていて、55.1%で首位をキープ。ただし、このところマークが厳しくなってきてアベレージを下げています。
逆に島村選手にマークがついているこの状況を利用したいNEC。

島村選手の好調に引っ張られるかのように古賀紗理那選手が43.2%と久々に元気。ネリマン選手加入の効果も大きいです。規定数には到達していませんが、現在37.1%。トヨタ車体在籍時には毎年40%オーバーの選手ですので、調子を上げてくると更に手強くなるでしょう。

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NECは今まで、日本人選手育成を最優先としたオーダーを組んできましたが、今年は本腰を入れるようです。現在、山内美咲選手と曽我啓菜選手の併用路線ですが、ライトの決定率が上がってくると更に強くなるでしょう。

以上を踏まえると、ネリマン選手が古賀選手と並ぶ決定率をマークし、ライトの決定率が上がってくると、東レに匹敵する攻撃力を保有するチームとなるでしょう。そのためにも後述するサーブレシーブ成功率の向上が鍵となります。



久光はデンソーをわずかに上回りこのランク。ただし、この数字はランキング4位のフォルケ・アキンラデウォ選手が引き上げているもので、それ以外では35.6%で並ぶ石井優希、井上愛里沙選手となり、トータルでは下がります。

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久光は若手とベテランの融合路線を敷いていますが、これがもうひとつで、ライトは中川美柚選手と長岡望悠選手で併用。主に劣勢の時に長岡選手という使い方が多いです。

前半戦の課題だったアキンラデウォ選手と井上美咲選手とのコンビネーションは合ってきましたが、あとはチーム全体の決定力の向上です。

これが上がってくると成績もアップするでしょう。


デンソーの決定率の核はルーキー・横田真未選手が46.6%でランキング5位、負傷欠場していたプラマー・キャサリン選手が43.3%と突出しています。さらにライト工藤嶺選手が37.5%。  

横田選手は現時点で新人王の最有力候補です。

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課題はレフトのレギュラー中元南選手。28.5%とかなり低い数字となっていますが、サーブレシーブの上達が顕著で63.2%とランキング6位。攻守の要として外せない存在となってきました。
中元選手の決定力が上がってくるとかなり脅威で、チームとしての死角が少なくなります。

 

岡山シーガルズ。
成長著しい及川真夢選手が47.8%でランキング3位。宮下遥選手とのコンビも抜群で高いサイドアウト率を誇ります。また、ベテラン川島亜依美選手も元気で42.4%。エース金田修佳選手が38.6%、渡邊真恵選手が37.4%とトータルパッケージでも優れています。

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ここで28.5%の吉岡美晴選手が上がってくると隙のない布陣が組めますし、吉岡選手でレフトが固定出来ると古川あおいアン選手をライトの二枚換えで使う選択肢も増えます。

サーブレシーブも頑張っているのであと一息です。頑張って欲しいです。



日立リヴァーレはタップ・ハンナ選手の決定率が高く、45.0%で6位につけています。このタップ選手が前衛にいるうちに如何に得点を重ねるかが鍵で、同時に後ろに下がった後のサイドアウトの取り方がかなり重要です。 

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そうなると重要なのが長内美和子選手(33.3%)と上坂瑠子選手(30.1%)でオクム大庭冬美ハウィ選手の復帰までは二人が頑張らないといけません。

KUROBE戦では上坂選手が獅子奮迅の活躍を見せましたが、両レフトの決定率をあげるのが当面の最重要課題です。日立はサーブレシーブ成功率が4位の57.9%ですが、これを60%台まで引き上げて、持ち前の早い攻撃で決定率をあげたいです。

窪田美侑選手が37.6%、入澤まい選手が36.4%。窪田選手はチーム唯一の守備力も兼ね備えたテクニシャンタイプですが、現在、野中瑠衣選手のライト積極起用もあり、長内美和子選手の打数が多いこともあり、後衛の時のレシーバー兼リリーフサーバーを務めています。



埼玉上尾メディックスはレルバッキ監督の来日がギリギリになったり、冨永選手が不在だったり、シャイナ選手の調子がもうひとつということでこのランクです。
 
セッターはこのところ山崎のの花選手で固定されてきましたが、実績あるサンティアゴ・アライジャタフニ選手の決定率を更に上げたいです(44.0%・ランキング8位)。

内瀬戸真実選手が37.1%、吉野優理選手が32.5%、ジョセフ・シャイナ選手が31.9%です。シャイナ選手はオポジットですがブロードも打てる器用な選手なのでミドルとのコンビを絡めても面白いので、何とか得点力を上げたいところ。

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そのためにもサーブレシーブをもう少し安定させたいところ。攻守が噛み合ってくると、後半面白い存在です。




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今回はアタック決定率の35%台のチームを特集してみました。以前はサーブレシーブが良くないとチーム成績が上がらないというのが定説でしたが、今年は攻撃力に特化したチームが強い傾向にあります。

また、サーブに各チーム力を入れている分、全体的にサーブレシーブが崩され気味で、チームトータルで60%を超えているのは僅か3チームです(続く)