躍進。

この言葉がまさに当てはまる。

忍従の時は長かったが、ようやく同期の二人に追い付きつつある。



日本人アタッカーとしては、最高到達点はトップクラスの310cmを誇る未完の大器は、ようやく、その本領を発揮しはじめた。



野本梨佳選手。


GalleryPic 

彼女にとってこの一年間あまりは大きな飛躍の一年となった。



コートネーム:リカ


シャツネーム:NOMOTO


生年月日:1991/09/21


身長(cm):180.0


最高到達点(cm):310.0


出身地:愛媛県松山市



出身校・前所属チーム:聖カタリナ高校



■個人成績・戦績:


 ・個人タイトル


久光製薬スプリングス



2013年VサマーリーグMVP



・団体成績


・全日本


 2017年アジア選手権大会優勝



・Vプレミアリーグ



久光製薬スプリングス



2012/13Vプレミアリーグ優勝



2013/14Vプレミアリーグ優勝



2015/16Vプレミアリーグ優勝



2013年Vサマーリーグ優勝



第62回黒鷲旗大会優勝


2012年 天皇杯・皇后杯優勝



2013年 天皇杯・皇后杯優勝



2014年 天皇杯・皇后杯優勝


2015年 天皇杯・皇后杯優勝



2016年 天皇杯・皇后杯優勝


2014年 アジアクラブ選手権優勝



2017年 国体優勝



・高校


 聖カタリナ高校




野本選手は同期の長岡望悠選手、石井優希選手と並んで将来を嘱望された久光の三人娘。
全日本に上がったのも同じ時期。



[画像:3a07e333-s.jpg]

そんな野本選手のバレーボール人生がスタートしたのは比較的遅く、中学生になってから。



元々バスケットボール選手だった野本選手は中学生からバレーボールに転身。そこから頭角を表し2006年のJOC杯ではベスト8に入り、オリンピック有望選手賞を受賞する。

高校時代は一年生からエースとして活躍。3年生の時キャプテンも務める。
卒業後久光製薬スプリングスに入団。


全日本に初招集されたのも、長岡、石井選手と同じ2012年。



だが、故障を機に野本選手の活躍の場は少なくなっていく。

[画像:2e92b125-s.jpg]

同期の長岡選手はVプレミアリーグでMVPを獲得、全日本の次期エースとして着々と実績を重ね、石井選手もまた、2013年以降全日本に定着。



活躍する同期の背中を見る不遇の時期を過ごした。


 当時、このような話が良く聞かれた。

「他チームなら即エース」



だが、野本選手は努力を重ね、チャンスを待った。



転機となったのは2016/17シーズン。


[画像:b8139b17-s.jpg]

この年野本選手は終盤の二枚換え要員として活躍。ここでチャンスを切り開き、更なる転機が訪れる。

レギュラーラウンドを2位で通過した久光だったが、ファイナル6のNEC戦で長岡選手が故障。

野本選手に白羽の矢がたった。



チャンスを得た野本選手だったが、当時の下馬評ではファイナル3を闘う日立リヴァーレが有利。


それを結果で跳ね返していく。



[画像:f8c8aa3f-s.jpg]

初戦はチームのベストスコアを飾る16得点をマークし、見事ストレートで勝利。

続く第二戦も同期の石井優希選手と肩を並べる17得点を上げ、勝利に貢献。


水を得た魚のように活躍し、勇躍、ファイナルに駒を進める。



ところが…。



[画像:f5a8d5c6-s.jpg]


ファイナル第一戦で、今度は岩坂選手が故障。野本選手は23得点を上げ奮戦し、フルセットへ持ち込み、水田選手が奮戦するも、惜しくも敗戦。

続く第二戦。手負いの久光は第一セットを奪い先制するも、続く第二、第三セットを奪われ窮地へ。野本選手はチームトップの23得点を上げ奮戦し、フルセットへ持ち込むも、度重なる主力の故障では無理があった。

最後は力尽きたように敗れ、惜しくも優勝を逃す。


[画像:b2b017d1-s.jpg]

だが、この時の奮戦ぶりはまさにエース級の実力を証明する形となり、2013年以来の全日本メンバーに選出される。



だが、ここでも当初は控えの一人に甘んじた。が、野本選手はチャンスを待った。
そして、再び転機が訪れる。


ワールドグランプリの第三次・香港ラウンド。
ここで野本選手はメンバー14名に抜擢される。



初戦の中国戦でスタメン起用された野本選手は、大活躍の島村春世選手に次ぐ19得点を上げ、存在感を大いにアピール。

[画像:e480eb94-s.jpg]

続くセルビア戦での出場こそなかったものの、第三戦のロシア戦では第四セット終盤、22-21と緊迫する大事な場面で投入。この局面で野本選手は2本のスパイクを決め、25-21でフルセットへと持ち込み、最終セットもスタートから出場。セッター佐藤美弥選手は積極的に野本選手にボールを集め、最後の15点も野本選手がマーク。

[画像:976156c2-s.jpg]

終盤のみながら6点を挙げ、たった2試合ながらワンチャンスでキッチリ結果を出し、続くアジア選手権の出場メンバー14名の座を勝ちとる。


 ここからが快進撃の始まりだ。

続くアジア選手権では初戦のオーストラリア戦でスタメン出場。内瀬戸選手に次ぐ9得点をマーク。
更にベトナム戦でもフル出場し、チーム最多の20得点をマーク。

[画像:966f818d-s.jpg]

続く中国戦でも新鍋選手と並ぶ13得点でベストスコアを記録。
そして、大苦戦した決勝のタイ戦でもスタメン出場。
8得点で途中交代となったが、チームはフルセットの末に0-2から逆転勝利を挙げ、日本に10年ぶり4回目の優勝をもたらした。



この大会を通じて、野本選手の実力が全日本でも通用することを結果でアピール。


結果、2017年最終戦となるワールドグランプリチャンピオンズカップの出場切符を勝ち取ると、開幕戦の韓国戦でスタメン出場。チーム最多の18得点をマークし、一躍注目を集める。


[画像:7748e9c7-s.jpg]

続くロシア戦では第三セット終盤から第四セット、スタートから出場し5得点を上げ奮戦するも、惜しくも1-3で敗戦。第三戦のブラジル戦では第三、最終セットで途中出場。ブラジルに連勝を飾る。
迎えた名古屋ラウンド、勝利寸前にまで迫ったアメリカ戦では第四セット終盤に出場。

[画像:47a055d5-s.jpg]

そして、最終戦の中国戦では再びスタメン出場し、フルメンバーの中国を相手に、新鍋選手と並ぶチーム最多の17得点をマーク。



世界と互角に戦える証明を獲得した1年だった。


 そんな野本選手は現在、久光製薬スプリングスの一員として、押しも押されもしない存在となった。



[画像:efb39caa-s.jpg]

開幕戦のNEC戦からスタメンとして名を連ね9得点を上げ、ストレート勝利に貢献。続くJTマーヴェラスとの一戦では0-2から第三セットの接戦を制し、逆転勝利を奪う立役者の一人として石井選手に次ぐ23得点をマーク。更にデンソーエアリービーズ戦ではチーム最多の26得点をマークし、長岡選手不在を感じさせない力強さを見せつけた。

皮肉なことに同期3人は同じポジション。
永遠のライバル関係だが、ようやく肩を並べるところにまでやってきた。



コート上でのクールで爽やかな笑顔が振りまかれた時こそ、野本選手の本領発揮。

目指すは3人揃っての東京オリンピック。
久光の三人娘は今、全日本の三人娘として大きく羽ばたこうとしている。

恩師・中田久美監督の下で

[画像:c9afb292.jpg]


その前にまず、久光製薬スプリングスのV奪回に向けて、
遅れてきた3人目のエースは今、ようやくその真価を発揮しようとしている。



更なる飛躍を目指し、
今まさに遅まきの春、爛漫。