メジャーになる選手が常に、日の当たる場所から誕生した訳ではない。

江畑幸子選手と迫田さおり選手。

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かつて第一期眞鍋ジャパンの主力として活躍した二人は、眞鍋政義さんにその才能を見いだされ、そして世界を席巻した。

江畑選手は日本人離れしたパンチ力あるアタック。

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迫田選手は類い稀な跳躍力。

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ともにバックアタックを得意とし、ロンドンオリンピックの華となった。

才能も大事だか、やはり人は才能を見いだされ、そして開花する。

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特に江畑選手は、当時チャレンジリーグだった日立リヴァーレからの大抜擢。

まさにシンデレラガール。


世の中は、持てる才能を埋もれたままにするケースは幾らでもある。

世界最高と謡われた人間でさえ。

かの有名な世界最高のギタリスト、ジミ・ヘンドリックスでさえ、アメリカでは無名のギタリスト。

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リトル・リチャードや多くのバックバンドで修行を積んだ。

何しろ、朝起きてから1日8時間もギターを弾いていたらしいから、あの腕前も納得である。
それも、誰に言われるまでもなく、自主的に。
要するにギターは彼の唯一無二の友であり、存在意義そのもの。ギターを持った瞬間、彼は天下無敵のガンマンのようになる。

彼が駆け出しの頃、ドン・コヴェイの「have Mercy」では彼のギターがオープニングのイントロで流れている。


そんなジミが世にでたのは、「ある出会い」から。

無名時代の彼は「Cafe Wha?」というライブハウスで寄せ集めバンドで出演していた。

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その時、アニマルズのベーシスト、チャス・チャンドラーが解散コンサートの前に先乗りでアメリカに来ていた。

そこでチャスはジミを見て、一目でぶっとんたらしい。

「世の中には凄い奴がいる」と。

チャスはジミを口説き落とし、イギリスに連れ帰ることに成功するのだが、当のジミがチャスに聞いたのは、以下の内容だったらしい。

「ベックとクラプトンに会わせてくれるなら」
「イギリスではどんなアンプを使っているのかい?」と。

純粋な音楽青年だったジミにとって、それ以外のことはどうでも良かったらしい。

チャスは「ベックとクラプトンなら長年の音楽仲間だ」と答え、すぐに渡英が成立。

面白いのはそれからだ。

ジミはミッチ・ミッチェル、ノエル・レディングと言ったメンバーを紹介され、「ジミ・ヘンドリックス エクスペリエンス」というバンドを編成。

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ロンドンのライブハウスに出演するやいなや、一夜のうちにスターになった。

フィードバックを駆使した斬新な演奏、かつその腕前、歯でギターを掻き鳴らすパフォーマンスで観衆を圧倒。かのビートルズやストーンズまでもがジミを絶賛。
ジミは瞬く間にスターの階段をかけ上がった。

面白いのは、会う約束をしていたベックとクラプトンもジミのステージを見ていたことだ。

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ベックはジミの突然の出現にショックを受け、ギターを辞めようかとすら考えたという。

ところが、いざジミと面会するとベックはジミが自分のことを知っていたことに感激し、自分たちは音楽で繋がっていると実感したという。

一方、クラプトンもまた、ジミのステージを見たあと、「Who」のピート・タウンゼントから映画に誘われ、そのあとジミの脅威について語り合ったという。

最も、二人はそれまで接点がなかったそうで、共通の脅威を目の前に「ヤバイのが出てきた、俺たちどうすれば良い」と、二人もまたショックを隠しきれなかった。

そして、ジミが会いたがっていたベックとクラプトンは後に「世界三大ギタリスト」のうちの二人に成長する。

しかも、時期こそ違えどもともにヤードバーズの花形ギタリストという因縁がある。
だから、世の中面白い。

ジミの三人編成バンドに触発されたクラプトンは伝説のバンド「クリーム」を結成、のちの方向性の礎を作る。

ベックは「ヤードバーズ」脱退後、ジェフ・ベックグループを結成。「Beck's Borero」などの名曲を経て独自の境地を築き上げていく。

そしてジミは炎のように楽曲作りに専念し、短い人生をあっという間に燃え尽きた。

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世界最高のギタリストという称号とともに。

そんなジミは生前、こんなことを漏らしていた。

「俺が死んだら、絶対にジャムセッションをやってもらうからね」

彼は自分が長く生きられないことを自覚していたのかもしれない。

それは彼の「I don't live today」という楽曲にも表れている。

物事に「If」を言い出せばきりがないが、やはり才能というものはもっているだけでは駄目で、第三者が認めて、始めて価値が見いださせる。

才能の開花の機会はどこに落ちているか、わかったものではない。


※ジミの駆け出しの頃、バックバンドでギターを演奏している。



※その数年後、彼はロンドンで大ブレイクする。