勝負事には強者と弱者が存在する。
これは勝負事である限りの宿命。

問題はそこからだ。

軌道修正が上手く行ったチーム。
そうでなかったチーム。
そのいずれの明暗が分かれた。

あの久光製薬スプリングスですら
外国人選手を解禁した。
それぐらいリーグのレベルは上がっている。

強者と弱者が明確化し、6強2弱の図式が出来上がった。
勝負は非情、弱肉強食の世界。

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・総括
5位以下という括りは適切ではない。
高橋、小田選手をサイドに、竹内、辻選手の台頭と、出遅れていた平松選手の復帰。
体制整ったトヨタクインシーズは一時期4位まで躍進。
年明けまでは東レアローズを含めて3チームが不振に喘いでいた。その東レが、反撃の狼煙を上げたのは年明け。年末の天皇杯・皇后杯から試し始めたオポジット二枚同時コートインの超攻撃的シフトで快進撃。一時は5位まで上昇。
開幕戦白星を上げたものの、昨年退団の旧パイオニア勢の補強のないままシーズンを迎えた岡山シーガルズは佐々木萌選手のエース一人立ちや金田選手の台頭など収穫があったものの結果には比例せず、低迷。
開幕戦東レから勝利を上げるなど華々しい船出のPFUだったが、慢性的な得点力不足を脱せず、初のプレミア昇格は苦い船出となった。



トヨタ車体クインシーズ
(2016/17 Vプレミアリーグ5位)
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・今季成績:
レギュラーラウンド :10勝11敗(5位)
ファイナル6:2勝3敗(5位)


通算:12勝14敗


対戦成績:
(レギュラーラウンド、ファイナル6、3、ファイナル含む)
NECレッドロケッツ:1勝3敗
久光製薬スプリングス:4敗
日立リヴァーレ:1勝3敗
JTマーヴェラス:2勝2敗
東レアローズ:2勝2敗
岡山シーガルズ:3勝
PFUブルーキャッツ:3勝

・攻撃力 ★★★☆☆
・ブロック力★★★★☆
・サーブ力★★★★☆
・サーブレシーブ★★☆☆☆

総合評価 3.25

※レギュラーラウンドの成績による。



今年の状況と課題
多治見麻子新監督を迎え、体制一新した今季。開幕戦ではMB1の奇策を用いるなど新味を求めるも序盤は苦戦。小田選手を攻守の軸として固定。高橋選手の活躍などもあり、比金、榊原選手と体制が固まるにつれ成績向上。大黒柱ラヒモワ選手、荒木、平松選手の強いセンター線を武器にレギュラーラウンドを5位通過。ファイナル6では前半戦を2勝1敗で乗り切り、ファイナル3進出に王手を掛けるもラスト2選で連敗。惜しくも逃した。
選手層が格段に向上しているので、課題のサーブレシーブを強化したい。村永選手や竹内、辻選手、佐藤澪選手の復帰など、全体の底上げで更なる飛躍が期待出来る。



東レアローズ
(2016/17 Vプレミアリーグ6位)
東レ


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・今季成績:
レギュラーラウンド :10勝11敗(6位)
ファイナル6:2勝3敗(6位)


通算:12勝14敗

対戦成績:
(レギュラーラウンド、ファイナル6、3、ファイナル含む)
NECレッドロケッツ:4敗
久光製薬スプリングス:2勝2敗
日立リヴァーレ:4敗
JTマーヴェラス:3勝1敗
トヨタ車体クインシーズ:2勝2敗
岡山シーガルズ:3勝
PFUブルーキャッツ:2勝1敗

・攻撃力 ★★☆☆☆
・ブロック力★★★★★
・サーブ力★★☆☆☆
・サーブレシーブ★★★★☆

総合評価 3.25

※レギュラーラウンドの成績による。


今年の状況と課題
木村沙織、迫田選手の残留決定が遅れた分、チームの状態は向上せず、得点力の低下から年末よりパスピッターを削り、オポジットの堀川選手を迫田選手と同時にコートイン。この超攻撃的シフトが功を奏し一時は5位まで上昇。
ファイナル6も奮闘し、最終戦のNEC戦でファイナル3通過を懸けるも実らず、6位でシーズンを終えた。

現状、迫田選手の去就が不明だが、木村沙織選手の抜けた穴をキャプテン峯村選手、野村選手、そしてルーキー黒後愛選手で埋めていくことが課題。そして今年投入した超攻撃型シフトをどう進化させていくかが、今後の課題。体制が一新するだけに来季の見通しが不透明な状況。その片鱗は黒鷲旗、そしてサマーリーグでも見られるだろう。






岡山シーガルズ
(2016/17 Vプレミアリーグ7位)
岡山


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・今季成績:
レギュラーラウンド :5勝16敗(7位)
チャレンジマッチ:1勝1敗
(チャレンジリーグⅠに降格)

通算:6勝17敗

対戦成績:
(レギュラーラウンドのみ(チャレンジマッチは含まない))
NECレッドロケッツ:1勝2敗
久光製薬スプリングス:1勝2敗
日立リヴァーレ:1勝2敗
JTマーヴェラス:3敗
トヨタ車体クインシーズ:3敗
東レアローズ:3敗
PFUブルーキャッツ:2勝1敗

・攻撃力 ★★☆☆☆
・ブロック力★★☆☆☆
・サーブ力★★☆☆☆
・サーブレシーブ★☆☆☆☆

総合評価 1.75

※レギュラーラウンドの成績による。



今年の状況と課題

今季は佐々木選手のエース独り立ち、泉選手の台頭。金田、大升、居村選手ら若手選手の台頭が見られた岡山だが、浅津選手ら旧パイオニア勢の抜けた穴を埋める戦力補強もないままシーズンを向けたツケは高くつき、通年で低迷。7位でチャレンジマッチに挑むも上尾メディックスにセット率で敗れ、チャレンジリーグⅠへ降格の憂き目に遭った。
チャレンジリーグⅠでは格上の存在だが、今後を睨み大型選手の補強などパワーヒッター不在の状況を改善出来ないと来季以降の見通しが立たない。久光ですら外国人解禁を始めた最中で純血日本人チームとして、今岐路に立たされている。吉岡選手など金の卵も入団し、2年先を見据えてチーム作りが求められる。





PFUブルーキャッツ
(2016/17 Vプレミアリーグ8位)
PFU


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・今季成績:
レギュラーラウンド :3勝18敗(8位)
チャレンジマッチ:2敗
(チャレンジリーグⅠに降格)

通算成績:3勝20敗

対戦成績:
(レギュラーラウンドのみ(チャレンジマッチは含まない))
NECレッドロケッツ:3敗
久光製薬スプリングス:1勝2敗
日立リヴァーレ:3敗
トヨタ車体クインシーズ:3敗
JTマーヴェラス:3敗
東レアローズ:1勝2敗
岡山シーガルズ:1勝2敗


・攻撃力 ★☆☆☆☆
・ブロック力★☆☆☆☆
・サーブ力★☆☆☆☆
・サーブレシーブ★★★☆☆

総合評価 1.5

※レギュラーラウンドの成績による。


今年の状況と課題
念願のVプレミア昇格を果たした今季だが、サーブレシーブを除く全ての部門でパラメーターが低く、特にマン制定な得点力不足に悩まされ、終始低迷したままシーズンを終えた。高さのあるチームなのでブロックで対抗するなど、改善方法はかなりある筈。まだチームが若く、村上選手や内定選手の堀口選手など新しい選手が多いので、オフの間にチーム力を高め、しつこいバレーで勝ち抜く力を付け、締め直したい。



・来季予想



NECのサーブ特化の成果からして、各チームがサーブを強化することは明白。
特に近年ジャンプサーブの使い手が増えており、来季もこれがトレンドとなるだろう。
つまり、サーブが強化されるということは、サーブレシーブの強化がより必須となり、サーブレシーブの良くないチームが脱落する可能性が高い。

また、サーブレシーブは得点力、特にミドルの打数と露骨に関連するので、サーブレシーブの強化と同様にミドルとのコンビバレーの強化が求められる。

あとはやはりブロック。
昨日のNECもブロックのアジャスト能力の高さが伺え、一枚でもキッチリ止めている。
今年蓄積されたデータを元に各チームが対策を練ってくるので、一人時間差のようにワンクッション入れる工夫が必要となるだろう。

今年の上位6強のうち、不明瞭なのが、東レと日立。特に東レは木村沙織選手の引退と迫田選手の去就が不明で大幅な若返りを強いられる。また、日立は松田監督の退任で今後どういった方向に進むか、現時点では未定。

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今季を踏まえ、どういった方向に進むのか久光。

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長岡、岩坂選手も復帰するが、オフの間で今後の方向性の再確認が必要となるだろう。
今季は常勝軍団らしからぬ敗戦も多く、体制が固まって数年が経過している。チームにも思い切った若返りも必要となってくるのかもしれない。


体制充実でアップゾーンにあるNECとトヨタ車体。

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両チームはまだまだ伸びしろがかなりあるので、来季の飛躍が期待される。
やはり怖いのは怪我。オフの間にしっかりケアし、怪我人のない状態で来季を迎えたい。


来季で2年目のJT。

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課題をひとつずつ潰していくチーム。
勝手も分かり、来年は本格的に優勝争いに加わってくるだろう。
あとはシーズン通じてのチーム的な総合的体力。
長いシーズン勝ち抜くには、戦略的な見直しも必要。




カルデロン選手を中心とする上尾。

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やはり攻撃力は脅威だ。ただし、シーズン通してとなるとやはり課題はサーブレシーブ。
近年Vプレミアではサーブレシーブの強化+攻撃力の双方を持ち合わせていないと苦戦傾向にある。
守備力を固めて、松本選手ともども高さを上手く使っていきたい。



選手層の厚さもさることながら、多彩な攻撃を誇るデンソー。

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石井里沙選手のようにミドルでもサイドでもこなす選手も多く、中元、坂本選手などの有望選手や故障から復帰明けの小口選手など陣容さえ揃えば、Vプレミアでも活躍が期待される。
上尾同様、サーブレシーブの強化が課題となるだろう。



岡山とPFUはチャレンジリーグⅠから出直しとなるが、まずは新戦力も踏まえた上で今後の方向性を明確にするのが先決。

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チャレンジリーグⅠでは力が抜けているので2チームは優勝争いを繰り広げることになるとは思うのだが、現在のプレミアのレベルの高さを踏まえるとただ単にチャレンジマッチに挑むのみならず、相応のレベルアップが必須。自チームの武器を明確にする必要があるだろう。


ともあれ、シーズンインまではまだかなりの時間がある。
英気を養い、来季より一層パワーアップした姿で臨むことを期待したい。