行き交う人の中に、袴姿の女性がチラホラ。
そう、卒業式のシーズンだ。

男性はスーツ姿が殆どだから違和感がないが、女子はあからさま。

そういえば昨年、Vプレミアリーグファイナルを見に行く途中、信濃町あたりで「あと数週間で信濃町バイバイだよ」とお友達と話していた人がいたことを思い出した。

別れと出会いが入り交じる。
今は3月。

そして、そろそろこちらも出会いの時期。
それは勿論、「全日本」だ。

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ところで前々から不思議に思っていたことがある。

「全日本」という名称だ。

この名前を聞いた方は「全日本プロレス」か「全日本バレーボールチーム」かのどちらかを連想する。

少なくとも一昔前まではそうだった。

ところが、全日本プロレスのほうが低調となり、現在では「全日本」の呼称は、ほぼバレーボールの単独名称となりつつある。

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かつては競技スポーツ全般にて、日本のナショナルチームを「全日本」と呼ぶことが通例であったが、現在では他の競技ではこの呼称は使われず、バレーボールに関しても報道機関によっては「日本代表」と呼称している場合がある。しかしながら、日本バレーボール協会では、一貫して「全日本」「全日本チーム」という呼称を使用している。

とまあ、こんな状況だ。


余談だか、なでしこジャパンや火の鳥日本の成功により、「●●ジャパン」などというサブタイトルが定着した。「侍ジャパン」とか、まあこのあたりはいいとして、中には無理やり感満載なのも多い。

安直に流行っているからうちも、はどうなんだろう? 今の世の中、一過性が多く、すぐ廃れてしまうので、各競技においてはそれぞれの品格を落とさないよう、それなりに威厳のある呼称やネーミングが好ましい。

本題に戻ろう。

全日本女子バレーボールチームだが、臨時で作られた寄せ集めのチームである。

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だが、年間のうちおよそ半分。
最大で3〜11月と9ヶ月近くも活動する。
勿論、帯同するのは試合出場、あるいは控えも含め14〜18名程度。

毎年最大でも45名程度。
それも高校、大学、Vリーグなど各カテゴリーのエース級の選手が一同に介す。

それも、ついこの間まで敵だった選手同士が笑顔で懇談している姿は不思議だ。

まさに、ここが変。

敵とは言っても、中学や高校時代から顔見知りや母校の先輩・後輩などもあるし、お互いに凌ぎを削り、認めあっているから打ち解けるのも早い場合もある。

そこはスポーツの良さ。

全日本に行く選手は「全日本」⇔「Vリーグ・学校」の二足のわらじを履く。

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何より、全日本はテレビ露出も多いので、こちらに加わるとたちまち「全国区」になる。

度々大相撲の例えで申し訳ないが、かつて平幕優勝を遂げた多賀竜関が、師匠から「これで多賀竜は江戸川区から全国区になったな」と冷やかされたそうだ。

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あの例えが分かりやすい。

文字通り、全日本での活躍はバレーボール選手の最大の目標であるとともに、スター選手への登竜門である。

何よりも、ここでの活躍により、選手は本格的に世界を見据えることとなるからだ。

全ての選手の最終目標でもあり、憧れの聖地。
それが全日本。

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例年、全日本の選手選考はVプレミアリーグファイナル終了後発表されることとなっている。

選手は休む暇もない。

前述の通り、最大でも45名程度が全日本からの招集を受ける。

言うなれば「東大の合格通知」のようなもの。
ただし、すぐにふるい落としが始まる。

受験に合格というよりは、自動車教習所の仮免許みたいなもの。

すぐに合宿に入り、何回かの合宿を経て人数が減り、体制が固まっていく。

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例年、他国との親善試合やモントルーバレーマスターズなどのミニ大会を経て、毎年開催のワールドグランプリのメンバーが絞られていく。

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おおよそこの段階である程度、その年の全日本のメンバーが固まる。

あとはマイナーチェンジ。

オリンピック後の全日本は忙しい。

特に今年は中田久美監督新体制初の全日本。
まず、序盤が重要となるだろう。

例年だとワールドグランプリを経て、アジア選手権、世界バレーアジア最終予選、そしてワールドグランドチャンピオンズカップことグラチャンとタイトなスケジュールだが、世界バレーが日本開催なため日本は予選免除、その分若干緩やかなスケジュールとなっている。

さて、一番気になるのは、皆様「人事」だろう。

詳しい詳細及び全日本の活動は、以後「全日本女子バレーボールの今日、そして明日 〜東京オリンピック編〜」でフォローしていくことになるが、本稿ではプレ全日本と言うことで、漠然として全日本選手予想をしてみる。


・セッター

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宮下遥選手(岡山シーガルズ)
佐藤美弥選手(日立リヴァーレ)
田代佳奈美選手(東レアローズ)
山口かなめ選手(NECレッドロケッツ)
田中美咲選手(JTマーヴェラス)
中大路絢野選手(久光製薬スプリングス)


・ウイングスパイカー

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オポジット
長岡望悠選手(久光製薬スプリングス)
渡邉久恵選手(日立リヴァーレ)
柳田光綺選手(NECレッドロケッツ)
堀川真理選手(東レアローズ)
江畑幸子選手(PFUブルーキャッツ)
宮部藍梨選手(神戸親和女子大学1年)


パスヒッター

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新鍋理沙選手(久光製薬スプリングス)
石井優希選手(久光製薬スプリングス)
内瀬戸真実選手(日立リヴァーレ)
古賀紗理那選手(NECレッドロケッツ)
近江あかり選手(NECレッドロケッツ)
田中瑞稀選手(JTマーヴェラス)
高橋沙織選手(トヨタ車体クインシーズ)
小田桃香選手(トヨタ車体クインシーズ)
黒後愛選手(東レアローズ)
佐々木萌選手(岡山シーガルズ)
金田修佳選手(岡山シーガルズ)
鍋谷友理枝選手(デンソーエアリービーズ)
井上愛里沙選手(筑波大学4年)


・ミドルブロッカー

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岩坂名奈選手(久光製薬スプリングス)
井上奈々朱選手(日立リヴァーレ)
島村春世選手(NECレッドロケッツ)
大野果奈選手(NECレッドロケッツ)
奥村麻依選手(JTマーヴェラス)
大野果歩選手(東レアローズ)
平松美有紀選手(トヨタ車体クインシーズ)
川島亜依美選手(岡山シーガルズ)
大竹里歩選手(デンソーエアリーピーズ)
松本亜弥華選手(上尾メディックス)



・リベロ

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佐藤あり紗選手(日立リヴァーレ)
榊原美沙都選手(トヨタ車体クインシーズ)
筒井さやか選手(久光製薬スプリングス)
座安琴希選手(久光製薬スプリングス)
※RCカンヌへレンタル移籍中
鳥越未玖選手(NECレッドロケッツ)
木村美里選手(東レアローズ)
小幡真子選手(JTマーヴェラス)
丸山亜季選手(岡山シーガルズ)


本稿では去就が不明な選手などについては割愛させて頂きました。

ここに掲載されているのは、勝手な個人予想での候補であり、実際は相当数減るだろうし、掲載されていない選手が選出される可能性もあることをご了承頂きたい。

興味はつきないが、ともあれ「全日本」が動きだすのはおよそ2週間以上先のお話。

果たして?