2014年、ハイブリッド6の頓挫により暗礁に乗り上げた全日本女子バレーボールチーム。

果たして、以後はどのような戦術が取られるのか、2015年は以後の進路も含め色々な意味で注目が集まった。

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・セッター

古藤千鶴選手(久光製薬スプリングス)

土田望未選手(上尾メディックス)

藤田夏未選手(トヨタ車体クインシーズ)

宮下遥選手(岡山シーガルズ)


・ウイングスパイカー

木村沙織選手(東レアローズ)

高田ありさ選手(東レアローズ)

迫田さおり選手(東レアローズ)

石田瑞穂選手(デンソーエアリービーズ)

江畑幸子選手(PFUブルーキャッツ)

石井優希選手(久光製薬スプリングス)

長岡望悠選手(久光製薬スプリングス)

白垣里沙選手(NECレッドロケッツ)

内瀬戸真実選手(日立リヴァーレ)

今村優香選手(青山学院大)

鍋谷友理枝選手(デンソーエアリービーズ)

井上愛里沙選手(筑波大学)

古賀紗理那選手(NECレッドロケッツ)

坂本奈々香選手(デンソーエアリービーズ)

宮部藍梨選手(金蘭会高校)



・ミドルブロッカー

山口舞選手(岡山シーガルズ)

大野果奈選手(NECレッドロケッツ)

大竹里歩選手(デンソーエアリービーズ)

荒木絵里香選手(上尾メディックス)

島村春世選手(NECレッドロケッツ)


・リベロ

座安琴希選手(久光製薬スプリングス)

岩崎紗也加選手(NECレッドロケッツ)

佐藤澪選手(トヨタ車体クインシーズ)

筒井さやか選手(久光製薬スプリングス)



2014年のメンバーからかなり刷新された。

まず、佐野、中道、新鍋選手のロンドンメンバーが姿を消し、セッター人事がまた、振りだしに戻る。

中道選手の引退で中道、宮下ラインが崩れ、セッター人事は振りだし。
この年、若い宮下選手とコンビを組むことになるのはベテラン古藤千鶴選手。
千載一遇のチャンスに古藤選手は奮起する。

新鍋選手の抜けた穴を誰が埋めるか?
候補は沢山いる。

佐野優子選手が引退を表明。
空いた穴を誰が埋めるか?
結局この年は、座安、佐藤澪選手がレギュラーを務めることとなる。

セッター、パスヒッター、リベロを巡る人事は後々大きな致命傷となるのだが、それはまだ、先のお話。


誰かが抜けれは、その分若い選手にチャンスが増える。

2015年は若い二人の選手に注目が集まった。

古賀紗理那選手、そして宮部藍梨選手。

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リオのみならず東京オリンピックのエースとして期待の集まる若き俊英。

古賀選手は高校時代からポストサオリンとの呼び声が高く、この年、NECレッドロケッツに入団。巧みにうち分けるアタックセンスは勿論、サーブレシーブもこなし、この年大活躍する。

そして、宮部藍梨選手。
ナイジェリアとのハーフである彼女は、高い身体能力を誇り、最高到達点は3m9cmと全日本最高。持ち前の高い打点から繰り出すスパイクに俄然注目が集まった。


二人はワールドグランプリにて鮮烈な国内デビューを飾るのだが、それは少し先のお話。


全日本は約1ヶ月に亘る長期間の国内合宿を経て、一路モントルー・バレーマスターズへ。

同大会は昨年とは違い、本番を意識したメンバー編制。勿論、本番とはリオデジャネイロオリンピックの切符が懸かったワールドカップ。
その人選でもある。

スパイカーは木村沙織選手を筆頭に、江畑、高田、石井選手に加え、鍋谷、そして古賀選手が加わったり

ミドルは山口、大野、大竹選手の三名。

セッターは宮下、藤田選手が参加。

リベロは座安、岩崎選手の布陣。

迫田さおり選手は肩の状態がもうひとつで参加が見送られ、長岡選手も回避となった。

この大会で日本はトルコ、ドイツ、イタリア、ロシアを破る快進撃で決勝へと駒を進めたが、決勝でトルコのリベンジに遭う。

第一、第二セットを連取し王手を掛けたが、第三セット、そして第四セットを接戦の末落とし、フルセットに持ち込まれ逆転負けを喫し、準優勝。

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この大会で石井優希選手がMVPとベストスパイカー賞、座安琴希選手がベストリベロ賞を獲得。幸先の良いスタートを切った。

しかし、この試合で江畑選手が負傷。アキレス腱部分断裂の重傷を負い、このシーズンを棒に降ることになる。



更に全日本はその僅か2日後、ブラジルとの親善試合へと向かう。

これはリオデジャネイロオリンピックの下見と試合慣れ。

そう、完全アウェーの雰囲気に馴染むため。

この大会ではセッターに古藤選手が合流。
さらにスパイカーに迫田、長岡選手が加わり、ミドルには追加招集の島村春世選手が合流。

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変則ルールで行われたこの試合は、形式上、日本は初戦こそストレートで勝ったものの、相手は控えメンバー。帰ってこれで警戒されたのか、2、3、4戦は全てフルセット負けという形になった。




そして全日本は、ワールドカップ前の最終調整の舞台であるワールドグランプリに参戦。

同年も大挙25名が登録メンバーとなるも、実際に試合出場を果たしたのは、
セッター:宮下、古藤選手。
ウイングスパイカー:木村、古賀、石井、内瀬戸、迫田、宮部、鍋谷選手。
ミドルブロッカー:山口、島村、大竹選手。
リベロ:座安、佐藤選手。

以上、15名。
このうち14名がワールドカップへ駒を進めることとなる。


あくまで本番前の調整大会、とは言え、この大会では躍進目覚ましい中国が復活。シュ・テイ、エン・シンゲツ選手など若手中心に切り替え復活を目指す。

日本は初戦のブラジル戦を落とすも、タイとセルビアに連勝。
続く日本ラウンドでは古賀、宮部選手が鮮烈なデビューを飾る。

初戦のイタリア戦、古賀選手は全セットに先発出場。23得点を叩き出し、日本のベストスコア。宮部選手は第二セットから出場し16得点を上げ、古賀選手に次ぐスコアを叩き出した。

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日本ラウンドのみの参加の宮部選手。
続くドミニカ共和国も先発出場、木村、石井選手に次ぐ9得点を上げ、ストレート勝ちを収めると、最終戦の中国戦は第四セットから出場、試合は3-1で完敗となったものの、短い出場機会ながら5得点を上げ、しっかりとアピール。古賀選手は13得点を上げ、ベストスコアを叩き出した。

メグカナ、サオリンなど高校生から全日本で活躍する選手は沢山いたが、これほどまで鮮烈なデビューを飾った例は極めて稀で、ここまでインパクトのあった登場は久しぶりだった。
そう、時代が変わる一瞬とは、まさにこんな感じで、誰もが明るい全日本の未来を予感させた。

しかし、様子見とはいえ、このワールドグランプリは苦戦を強いられた。

木村沙織選手の調子が上がらず、ベンチを温める機会が多かった。
長岡選手もスロー調整。その分、古賀選手が出ずっぱりとなる。

続く香港ラウンドでは、第一戦アメリカにストレート負けを喫し、中国との再戦でもなすすべなくストレート負け。続くタイ戦でストレート勝ちを収め、辛うじて決勝ラウンドに駒を進めるも、ここからが辛い試合の連続となる。

初戦のアメリカ戦は3-0のストレートで敗退。続く3回目となる中国戦も歯が立たず、ストレート負け。続くブラジル戦でもやはりストレート負けと暗雲が垂れ込める。結果として日本は、続くイタリア戦でもフルセットの末敗退、最終戦のロシア戦でもストレートの敗退を喫し、決勝ラウンドは最下位の6位に終わるのだが、収穫はあった。

まず、古賀紗理那選手。

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アメリカ戦では日本のベストスコアとなる13得点。中国戦でも日本のベストスコアとなる12得点を上げると、イタリア戦ではお休み。最終戦のロシア戦は迫田さおり選手にベストスコアを譲ったものの、その評価は不動のものとなり、ワールドカップに向けて合格点を出した。

そして、少ないチャンスを掴んだのは鍋谷友理枝選手と内瀬戸真実選手。

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イタリア戦に先発出場し、迫田さおり選手に次ぐ24得点を叩き出し大奮戦。内瀬戸選手も17得点を上げて大活躍。最終セット20点を超す大熱戦に指揮官は合格点を出し、3人はワールドカップへの出場権を獲得する。


そして迎えた運命のワールドカップ2015。

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ワールドグランプリを闘った主力14名で闘うことが決まり、注目の宮部選手は腰を痛め、出場が見送られた。

数少ないチャンスをものにした島村、佐藤澪選手、そしてワールドグランプリで大活躍した古賀選手。そして、古藤選手が宮下選手とともに全日本の司令塔を務める。

ワールドグランプリでの苦戦ぶりから不安視された同大会だが、全日本はその不安を吹き飛ばすように熱戦を展開した。

初戦のアルゼンチン戦で序盤こそ固かったものの、3-0のストレート勝ち。
ここでも古賀選手がベストスコア。

続くロシア戦では調子の上がっていなかった木村選手が復活。23得点を上げベストスコアで奮戦し、出場アタッカー4名が二桁得点を上げ、途中出場の古賀、内瀬戸選手が奮戦するもフルセットの末惜しい敗戦。

続くキューバ戦では3-0のストレート勝ちを収め、古賀選手がベストスコア。

第二次ラウンド、ケニア戦ではモイム選手のアタックに苦しむ場面もあったがストレート勝ちを収め3勝1敗。
木村選手がベストスコア。

そして、中盤最大の山場を迎える。
ドミニカ共和国との一戦だ。

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この時のドミニカ共和国は勢いがあった。
守備力が高く、コートを世界一のリベロ、カスティージョ選手が守る。
日本は大苦戦の末、この試合をフルセットで勝利、文字通り値千金の勝利をものにした。
ベストスコアは一度下げられながら踏ん張った古賀選手と、チームの先輩島村選手。
NEC勢2人の活躍で、日本は貴重な白星を得た。

続くペルー戦では、木村選手の序盤の奮戦が活き、ストレート勝ち。
ここぞの場面ではキャリアが活かされる。
この試合では木村、長岡選手の両輪がベストスコア。

そして中盤もうひとつの焦点は韓国戦。
エース、キム・ヨンギョン選手対策が焦点となった。

結果としてサーブで攻めたヨンギョン選手対策が功を奏し、長岡、古賀選手が揃ってベストスコア。日本はストレート勝ちを収める。
以後日本は韓国に苦しめられることになるのだが、それは翌年のお話。

そして迎えたセルビア戦。
相手のエースは日本でも知られたブランキッツア・ミハイロビッチ選手。

第一セットを苦戦の末先取するも、第二、第三セットを圧倒され、ここまでかと思いきや、第三セット終盤から息を吹き返した日本は第四セットを奪い返し、フルセットへ。しかし、最終セットでは前半から5連続得点を奪われると、ミハイロビッチ選手のアタックに圧倒され、惜しくも敗戦。
長岡選手が23得点で奮戦するも及ばなかった。

アルジェリア戦は危なげなくストレート勝ちを収める。
ベストスコアは石井選手。

7勝2敗で迎えたアメリカ戦。本大会終盤最大の山場。

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この試合、日本は序盤から互角以上の闘いを挑み、第一セットを先制。
続く第二セットを激戦の末落とすと、第三セット、終盤で離されてしまい、万事休す。
力を失った日本は第四セットをワンサイドで落とし、3-1で敗れる。
この瞬間、日本の2位以上の可能性が消滅した。

この試合、木村選手が振るわず途中退場となったが、この時点で勝負があったかもしれない。


そして、最終戦の中国戦。



中国はワールドカップ優勝が懸かっていた。
勢いづく中国を前に第一セットを失う日本。続く第二セットでは終盤、ピンチサーバー鍋谷選手が活躍し、これを機に6連続得点を奪い逆転勝ち。しかし、第三セット以降は中国に有利に傾き、第三セットを落とすと、日本は迫田選手を投入し挽回を図るも3-1で敗れ、最終戦も白星で飾ることは出来なかった。

日本は最終的に7勝4敗:5位という結果に終わり、リオデジャネイロオリンピックへの出場権は来年に持ち越しとなるのだが、結果としてこのワールドカップでは上位4チーム以外に全て勝ち、ストレート負けがゼロ、うちフルセットが2試合と、非常に競った内容だった。

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何より、2015年のチームで古賀紗理那選手が台頭したことで明るい未来が見えた。
そして、2015年でもっとも成長した選手のひとりが長岡望悠選手。

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ワールドカップで長岡選手は日本のエースとして奮戦し、不動の地位を築くことになる。

そういう意味では翌年に希望の持てる一年となったのだが…。
(続く)