冷や汗をかいた。
自分のことでもないのに
一瞬固まった。

2016/17 Vプレミアリーグ開幕戦

PFUブルーキャッツvs東レアローズとの試合でのことだ。

試合中転倒したその選手は動かない。
プレイが終わった後、心配した木村沙織選手や迫田さおり選手が駆け寄り、その選手を抱き抱えて退出させる。


ところが、よく見るとその選手は笑っている。

悪夢の二年前は避けられた。

かつてロンドンオリンピックの準々決勝にて、中国を相手にフルセットでの死闘を制し、全日本女子バレーボールチームに待望の銅メダルをもたらすのに貢献した日本のエース。

江畑幸子選手。

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江畑選手は勝利の女神。
眞鍋政義監督率いる全日本女子バレーボールチームが獲得したメダル全てに江畑選手が関わっている。


・コートネーム:エバ

・シャツネーム:EBATA

・生年月日:1989/11/07

・身長(cm)177.0

・最高到達点(cm):305.0

・サージャントジャンプ(cm):65.0

・出身地:秋田県秋田市

・出身校・前所属チーム:
聖霊女子短期大学付属高校→日立リヴァーレ→RCカンヌ


■個人成績・戦績:

・個人タイトル

2011年 モントルー・バレーマスターズ ベストスパイカー

2011/12 Vチャレンジリーグ MVP

同サーブ賞

第63回黒鷲旗大会 ベスト6



・団体成績

・全日本

2010年世界バレー 銅メダル

2012年ロンドンオリンピック 銅メダル

2013年 ワールドグランドチャンピオンズカップ 銅メダル

2014年 ワールドグランプリ 銀メダル



・Vプレミアリーグ

日立リヴァーレ

2011/12 Vチャレンジリーグ優勝



・高校

聖霊女子短大附高


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高校時代は主将として春高やインターハイに出場したが、彼女が本格的に脚光を浴びたのは、まだチャレンジリーグ当時の日立リヴァーレ時代。

眞鍋監督時代、全てのメダルに絡んだ選手は他にあとひとりだけ。
そう、眞鍋ジャパンのエースとして共に闘った木村沙織選手。

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彼女がコートにいると華やぐ
試合に出ていなくても、チームの窮地の時は、誰に言われるまでもなくアップを始め
「私を出せ」とアピールする。

彼女は闘争心をおくびも隠さない。

そんな彼女が躓き始めたのは、ロンドンオリンピックを終えた2013年から。

グラチャンでは腰を痛め、後半数戦だけ。
2014年、ワールドグランプリで日本初のメダルを獲得した時ですら本領発揮とは言えなかった。

世界バレー2014では最終戦となったドミニカ共和国戦ではベンチにすら入れない屈辱を受けた。

そんな彼女が心機一転を図ったのはフランス・RCカンヌ。
ここで江畑選手は鋭気を養うと共に、選手均一のウェートメニューで別人のように体が大きくなり、パワーアップして帰ってきた。

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江畑選手は全日本に合流し、思い出のモントルー・バレーマスターズに出場。
しかし、好事魔多し。
ファイナルに駒を進めた日本はトルコ戦の第二セットで負傷。
アキレス腱断裂の重傷を負い、そのシーズンを棒に振った。

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失意の江畑選手が、次なる拠点に定めたのは、自分の原点・VチャレンジリーグⅠ。
PFUブルーキャッツ。

2016年年明けからチームに復帰した江畑選手は、チャレンジマッチで大車輪の活躍を見せ、初戦、デンソーエアリービーズを破るのに大きく貢献。

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翌第二戦では敗れたものの、セット数が上回ったため、Vプレミアリーグへの昇格を果たした。
こうして江畑選手は日立リヴァーレとPFUブルーキャッツの2つのチームをVプレミアリーグへと誘った。

これが彼女の、勝利の女神たる所以。

迎えた2016年、江畑選手は大手を振って全日本に向かう。
が、彼女の姿はOQTにはなかった。

連日、ギラギラした目でコートに視線を送る江畑選手。
試合に出たいという気持ちを抑えながら。

捲土重来を期し、ワールドグランプリへ向かうも
眞鍋監督が下した12名の中に彼女はいなかった。

ロンドンオリンピックのエースは、リオデジャネイロオリンピックを外から見送るしかなかった。

コートにはいなかったが、木村沙織選手の右小指に貼られたテーピングには「えば」の二文字。
彼女の魂は、リオでともにあった。

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全日本女子バレーボールチームは準々決勝のアメリカ戦で敗れ、全日本は一つの時代の終焉を迎えた。

それから2か月後、江畑選手はVプレミアリーグのコートに帰ってきた。

今、所属するPFUブルーキャッツは、開幕戦以来白星がなく、苦境に喘いでいる。
江畑選手の調子が上がってきていないからだ。

勿論、無理はしてほしくない。
もう二年前の悪夢はごめんだ。

だが、彼女に最も似合うのは、勝利のコート。
敗戦の涙ではない。

全日本が再び、東京オリンピックへと向かう中
彼女がこれから目指す道は、まだ分からない。

今はただ、やれるだけのベストを尽くすこと。
そして、チームを勝利へと導くこと。

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それが実現してこそ、江畑選手の明日が見える。
リオで置き忘れたものを取り戻すために。

エース復活へ、今日も闘う。




※本日、東北、関東地方を中心とした地震がありましたが、東日本大震災のような深刻なダメージは避けられました。このところ地震が頻発しておりますので、皆様お気をつけてお過ごし下さい。