ワールドカップ2015

次なる全日本の未来を予感させる
ひとりの少女がいた。

彼女は華々しい活躍を見せ
次のエースと誰もが期待した。

しかし、その期待とは裏腹に
この1年、ずっと苦しんできた。


そうこうしているうちに、全日本は新体制となった。

かつて春高で凌ぎを削ったライバルは来春の春高のあと、次なる進路を目指してくる。

そんな中、 東京オリンピックのエースは
左の長岡選手。

そして、右のエースとして、
全日本の新たな攻守の柱として
期待を集めるのは
ワールドカップで
鮮烈なデビューを果たしたこの選手。

古賀紗理那選手。

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コートネーム:サリナ

シャツネーム:KOGA

生年月日:1996/05/21

身長(cm)180.0

最高到達点(cm):305.0

サージャントジャンプ(cm)55.0

出身地:佐賀県神埼郡

出身校・前所属チーム:熊本信愛女学院高校


■個人成績・戦績:

・個人タイトル

第9回アジアユース選手権MVP
同ベストスコアラー

2013年インターハイ ベスト6
同優秀選手

第1回U-23世界選手権 ベストアウトサイドヒッター

2014年インターハイ ベスト6

2015/16 Vプレミアリーグ新人王


・団体成績

・全日本

2012年アジアユース選手権優勝

第1回U-23世界選手権銅メダル


・Vプレミアリーグ

NECレッドロケッツ

2014/15 Vプレミアリーグ優勝


・高校

熊本信愛女学院高校

2013年インターハイ 準優勝

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学生時代から超高校級と騒がれた古賀選手だが、意外と優勝には縁が薄く、高校三冠ではインターハイの準優勝止まり。

しかし、そこで留まらないのが古賀選手のスケールの大きさ。アジアユース選手権の優勝、MVPを始め、飛び級で加わったU-23世界選手権では島村、田代、鍋谷、鳥越選手ら、後にNECや全日本でチームメイトとなる先輩たちとともに銅メダル獲得に貢献。
ベストアウトサイドヒッターを受賞。
大器の片鱗を見せつけた。


最後の春高で敗れた古賀選手が
進路に選んだのはNECレッドロケッツ。

先輩の白垣里沙選手や
U-23で一緒の島村選手がいるチーム。

古賀選手は内定選手ながらチームの優勝に貢献。これまであまり縁がなかった優勝の栄冠を味わった。

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ここからが古賀選手の快進撃。

すぐさま全日本に招集された古賀選手は
ワールドグランプリで国内デビューを果たすと
ワールドカップのメンバーとして活躍。

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全日本の次期エースの何に恥じぬ
堂々たる活躍ぶりを見せ
ポスト木村沙織のポジションを
欲しいままにした。

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ワールドカップは5位どまりだったが
古賀選手の活躍は鮮烈に焼き付き
誰もが全日本の次期エースとして
認識した。

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希望の持てるシーズンとなった。

ところが、良いことばかりは続かない。

Vプレミアリーグの連覇が懸かる中、
チームは故障者が続出する。

前年の新人王・柳田光綺選手は開幕を前に戦線離脱。チームはスタートダッシュに失敗。レギュラーリベロ・岩崎紗也加選手もまた、戦列から離れていく。

ようやく足並みが揃いつつある中、今度は攻守の要・近江あかり選手が故障で戦線離脱。
前途洋々だったはずの古賀選手の負担が大きくなり、サーブレシーブで苦しめられる。

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思うように得点できず活躍出来ない。
それでも高校出たての新人としては
規格外の活躍。
それを高く評価され、2015/16
Vプレミアリーグの新人王に耀く。

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だが、その余波は全日本でも変わらなかった。

サーブレシーブに苦しみ、思うようにアタックが決められない。

OQTでは精彩を欠き、もう1つ活躍出来ない。あのタイ戦でも途中交代。

古賀選手は2年目のジンクスに苦しんだ。

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テレビ局が大々的に喧伝した動作解析。
ストレートとクロスのフォームがピタリと一致するというあれ、である。

結果、古賀選手は研究されつくし、常に狙われる存在となった。

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リオデジャネイロオリンピックの切符を懸けたワールドグランプリでは体調不良ながら復調をアピールするも、結果はメンバー落ちとなった。

仲間とともに一晩中語り明かし、「私を連れていかなかったことを後悔させてやる」、そう自分に言い聞かせながら、気丈にもVリーグへのイベントに参加。

何かを吹っ切るように。

そして、全日本女子バレーボールチームは準々決勝でアメリカにストレート負けを喫した。

あれから二ヶ月、古賀選手は再び世界のコートへ立った。

チームメイトは所属するNECレッドロケッツのメンバーたち。そう、アジアクラブ選手権で闘うため。

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そして、そこには輝きを取り戻した古賀選手がいた。

装いも新たなユニフォームで臨んだNECは1セットもあたえぬ快進撃で、全日本も苦戦したタイ代表チームの主力が揃うバンコク・グラスをフルセットの末撃破すると、決勝ではBA’YI SHENZHENG(中国)をストレートで撃破し、見事優勝を成し遂げた。

先輩の新人王・柳田光綺選手は、ベストオポジットを、そして古賀選手はMVPを獲得した。

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来年の世界クラブ選手権への切符を勝ち取ったNECレッドロケッツは大きな希望を手にし、次なる野望に向かって歩み始めた。

VプレミアリーグのV奪回である。

開幕戦、岡山シーガルズとの試合で古賀選手はサーブで攻撃で狙われ、思うように得点できなかった。

だが、これはまだ、ほんの序章。
これからも古賀選手が大型パスヒッターとして大きく飛躍していくからには避けては通れない。

狙われるということは、それだけ実力が高く評価されている証。ならば、その上をいくしかない。

さあ、どこからでも掛かってこい。
全部受けて、決めきってやる。



勿論、Vプレミアリーグでの優勝。
だが、目指すは4年後の東京オリンピック。

こんなところで躓いている場合ではない。
リオに選ばれなかった悔しさをバネに
自分の存在価値を認めさせるために。

古賀選手が憧れた木村沙織選手は
もう全日本のコートにはいない。
その木村選手が後継者として認めたのは
他ならぬ古賀選手。

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名実ともに
木村沙織選手の後継として
追い付き、追い越すために。

これからライバルはどんどん増える。
古賀紗理那、此処にありを
目に焼き付けるために。

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頑張れ、古賀紗理那選手。
君の双肩に全日本の未来が掛かっている。